【山行報告】霞沢岳西尾根

【山行報告】霞沢岳西尾根
日時:平成23年3月26・27日
山域:北ア 霞沢岳西尾根
メンバー:横田、中村、浅瀬、福田(福井ベルグラ)

今回の山行は、震災の影響で不便を強いられている横田さんの慰労と、新人の中村さんのバリエーション入門と、自転車に乗ってばかりの福田さんを山に引っ張り出すのと、私の久々にザイルを持った山行をしたいとの希望をゴチャマゼて立てた計画。
「槍穂の展望台」と称される霞沢岳山頂、その景色を見にいきましょう。

3月26日
うっすら雪の積もった平湯温泉バスターミナルに7:20到着し、横田さんの車に横付け。
前日Telでお願いしてあったタクシーに乗り込み、釜トン前へ。安房トンネル無料化実験のお陰で、2,500円也。
 



斜度11%の真っ暗な釜トンを歩いて抜けるのはこの季節の風物詩、山屋の特権だ。
「私、上高地の方って初めて来ましたー」と中村さんは嬉しそう。
自分も初の釜トンは歩いて抜けたのだよ。
初めて来た時はもっと斜度がきつくて、もっともっと長く感じた釜トンも、あっさり抜けてしまった。慣れかね?



日帰りで上高地散策をするというPを追い越し、土木事務所から電柱に向かって尾根に取り付く。
尾根上はクラスト気味の上に新雪が乗ってて歩きにくい。
早々にアイゼンを装着し、先頭を交替しながら急な西尾根を順調に高度を上げていく。
天候は高曇り気温は低く雪はパウダー。
「これは山スキーだと最高だね」とは横田さん。

上部では尾根が痩せるので、その手前でテン場を確保しないと、とキョロキョロ探しながら歩く。
12:40、h=2388でココゾ、という所を見つける。
時間はちと早がこれ以上いくと頂上までテン場は無い。
斜面を整地しテントをはり、中に潜り込むと風が遮られるだけでホワッと暖かい。
すいとん鍋 中村さんとこの家庭料理


ラジオが流れる中、お互いの近況などを話し合いなあら水を作る。
ゆったりと時間が流れる。
至福の時を仲間と共有する幸せなひととき。

火を落とすと寒くなるので、早々にディナータイム。
「中村さん、今日の食事は?」
「本当はスイトンのホウトウ鍋にしたかったんですが、カボチャが売ってなくて、ただのスイトン鍋です。」
スイトンの素をこねて鍋に投入。
モチモチとした食感も美味しく、何より軽量なのがヨシ。
19:00、お腹も膨れたので、寝ましょう。
Zzz・・・

3月27日
5:00起床。この上なくよく寝ました。
3月末とは思えないほどの冷え込みに、福田さんはペラペラシュラフで寒かったそうな。
朝食を済ませ、荷物をデポして出発です。

アイゼンが雪面にサクサク決まり、気持よく高度を上げていく。
振り返ると焼岳、涸沢カール、奥穂の峰々が少しずつ高度を上げながら展望を変えていく。
見下ろす雪原には梓川の一条の流れ。
ほほに突き刺す風が冷たい。

 




ちょっとした岩稜は、せっかくなのでロープを出して通過する。
リッジを過ぎると、霞沢岳の頂上も指呼の間だ。



「着いたー!」
頂上で握手を交わす。
自然と笑みがこぼれる。
谷筋はガスが湧きはじめてきているが、上空の大気はキンと澄み、穂高の峰々、襞の一つ一つがよく見わたせる。
「ここから槍は見えないんですね」ちょっと残念。

記念撮影を済ませると、お日様もあって気持いいがあまりに風が冷たいためそそくさと下山にかかる。
登りでザイルを出した岩稜は、右手から巻いて下りる。
あっという間にテン場に帰着し、しばらく休憩。
ふー、楽しかったねー。


荷物をパッキングして下山しましょう。
所どころ尾根が分岐する箇所で迷いそうになりながらも、昨日のトレースをたどって下山していく。
雪が腐ってアイゼン団子になって難儀しながら焼岳を正面にドンドン高度を落とす。
「あの正面の沢筋を昔山スキーで下った」
「焼岳の頂上でガスを吸ってたちまちバテた事があったなー」
などと話ている時、『ズズズ・・』
「エッ、地震?!」
「縦揺れ?直下型や!」
焼岳が噴火する前に下山してしまいましょう。
無事に土木事務所に下り、釜トンを抜ける。
バスを待つ事も考えたがタクシーの方が早くて安いでしょう、と昨日のタクシーに電話すると10分程度で来てくれた。
後は定番コースの、平湯の森(500円)で汗を流し、よしもとでカツ丼(950円)を食べる。

横田さん、遠く東京から来ていただきありがとうございました。
福田さん、楽しい山行でした。ありがとうございました。
中村さん、バリエーション入門を果たした事だし、これからバリバリ頑張ってください。


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