【山行報告】白山北縦走路 ワンデイ

10月8日に、白山の北縦走路へ参り、無事下山し目的を達成しました。
そしてこの日をもって、白山の主要登山道13ルートをすべて制覇しました。

山行概要
日程:2012年10月8日
メンバー:K村
ルート:馬狩~野谷荘司山~ゴマ平避難小屋~お花松原~御前峰(ピストン)
天気:晴れのち曇り

感想:
白山の最後のルートとして最長距離であろうこの北縦走路を踏破し、帰宅して留守宅の母の顔を見て、無事に帰ってきたことを実感し、しばらく玄関で座り込みながら解放感を噛みしめていました。
白山を登り始めたのが今年の7月あたりで、雪が降る前に目標を達成しようと3か月かかりました。それまでは今年の2月頃から、自宅から近い医王 山と湯涌の山を登りはじめ、その全ルートを達成後、白山に向けて南方に進軍。4月頃から倉ヶ岳、口三方、白山山系の鳴谷、大門、奈良岳、大笠を攻め、白山 へ。
ここまでで半年くらいでしょうか。徐々に標高が高く、道のりが長く、家から離れた山へ単独で向う。計画書を提出し、実行に移し、下山したのち例 会で反省をする。こうしたステップを踏んでいたおかげで、白山では毎週の休みは非常に天気に恵まれ、チャンスをものにできたのだと思いました。
そして、めっこの新歓コンパの酒の席で会長に白山の全ルートを登るといいぞという話題をきっかけに、よしやろうと決めてから今回の山行までとても長く長く感じました。
ですので、この日を無事に迎えられたことが、大変うれしいです。


白山山行略歴:
7/17,18 釈迦新道~砂防新道 ソロ 
今後の白山山行に備え甚之助避難小屋泊りが目的。18日は台風。剣ヶ峰、大汝楽しい。
8/7 加賀禅定道 ソロ 日帰り ピストン   大冒険感覚。天気良。脚諤諤、心いらいら。
8/22 中宮道 ソロ 日帰り ピストン     ブヨとオロロに酷い目に。脚諤諤、汗諾々。
8/29 平瀬道 ソロ 日帰り ピストン    ご褒美山行。運転はブナオ峠より楽。天気良。
8/31 白山禅定道~観光新道 ソロ 日帰り 山頂で暴風雨。帰り車は台風の暴風雨。
9/10 美濃禅定道 ソロ 日帰り ピストン  吐き気、頭痛、ブヨ、脚愕。恐怖のナイトhike。
9/17 楽々新道~岩間道 ソロ 日帰り     ストックが重宝。地平線が素晴らしい。
9/19 鳩ヶ湯新道 ソロ 日帰り ピストン   月夜が綺麗。これで遠征は終。運転キツ。
9/30 別山市ノ瀬道 ソロ 日帰り ピストン   風邪が悪化した。紅葉と雲海が綺麗。
10/8 北縦走路 ソロ 日帰り ピストン    最終試練。天気良、気持ち良。解放された。




北縦走路山行(以下長文):
スタート時は鼻かぜだったが、非常にリラックスしており、体力、装備、ルート把握等の準備は十分のようだった。
第一関門は馬狩~ゴマ平小屋までのナイトハイク。
第二関門はゴマ平小屋~御前峰往復。第三関門はゴマ平小屋~馬狩、と目星をつけていざ出発。

第一関門:馬狩~ゴマ平小屋
空には星が見えていた。野谷荘司からの稜線で風が強く合羽を羽織って夜道をゴマ平小屋へ。
小屋に泊まっていた男性に挨拶をしてから外へ。
ここか らは中宮道なのですでにルートはサーチ済み。
夜道で気が滅入っていたが、間名古あたりで日が差し、テンションを上げて進む。難なく、第一関門突破。



 


第二関門:ゴマ平小屋~御前峰往復
紅葉がどこもかしこも素晴らしかった。
北弥陀ヶ原からお花松原まで写真を撮りながら雪渓横を登り、山頂へ。


ペース配分も良い塩梅。山頂で山の話 題で仲良くなった男性と写真を撮り、早々に下山。
復路のお花松原で職場の人間と会い、北弥陀ヶ原への上り坂で合羽を脱ぐ。
紅葉が綺麗だと改めて周りを見渡 していると、後ろの少し遠くからせわしなく歩く男性3人の姿。
トレランの人のようで、わざわざ静かな山を急ぎ足で向かってくる姿を見ると妙に落ち着かな い。だから自然にこちらも早足に。
ランナーのように軽装でないけれども、意外に早足になれるものだなあと思いつつ、写真を撮りながらゴマ平小屋へ。
ここで30分の休憩。
美濃禅定道の反省を踏まえ、シャツと靴下を着替える。
小屋の窓から外を眺めると曇り空になっていたのでついでに合羽も着 る。すると小屋の外でスズの音がちりちり聞こえた。先ほどの3人かなと思って北縦走路の分岐の先の水場へ行くと、やはりその3人だった。
どこまで行くのか と聞くと馬狩までという。せっかく一人で静かに帰れると思っていたのに少しがっかりしながら、お先に水場をあとにした。




第三関門:ゴマ平小屋~馬狩
ここからが辛かった。本日最大の難所。
念仏尾根のアップダウンが綺麗で写真を撮りつつ、気分良く妙法山へ。
しかしいくら歩いても野谷荘司山に着かない。先に見える山がきっとそれだろうと思うと期待を裏切られる。
これは加賀禅定道で経験済み。下手な期待は捨てて、どうせあのピークの向こうの向こうが野谷荘司だろうと思いながら、ストックを使って重くなった身体を登らせる。
そういえば先ほどのトレランナーは石徹白(美濃禅定道)から北縦走路を1日で縦断すると言っていた。それをふと思い出し振り返ってみたが、人の 気配がまったくない。きっとしんどいのは同じなのだろう。
ペースを落とさないように坂ではピッチを増やし、小刻みに歩きながら休む。
美濃禅定道の反省で別 山市ノ瀬道で活躍したハイドレーションがここでも威力を発揮。
もうせん平の湿原をスルーしてほぼノンストップでようやく野谷荘司山に到着。
時計をのぞくとすでに15時間以上は経過していた。
ここからは未体 験ゾーン。いままで15時間以上動いたことがないからだ。
でもここからはコースタイム2時間の道のりでずっと下り坂で、野谷荘司山に登りさえすれば、ほぼ 難関は突破したと考えていいと思っていたので気持ちに余裕を持てた。
左のガレ場にびびりながら稜線を下っていくと、ゴール近くのトヨタ自然学校が眼下に見えてきた。
しかし下ってもいっこうに下りている感がしない。ゴール辺りが見える分、無性にまだかまだかと焦るせいだ。

ようやくブナ林へ突入。
ここでハイドレーションの水が切れる。身体の節々が痛い。
ヤバいなと思いつつ、エンドレスな九十九折にイライラする。
しかしとっくに限界は超えているはずなのに早足で下れる。足はまだ踏ん張っている。これには少し驚いた。
6本ほどの倒木を乗り越え、ゴール直前の直線の草道。
登山口のお墓が見えようやくゴール。
記念撮影をしてから、車に積んであったポカリを一口 すする。
咳こんでいるのでゆっくり飲む。靴、靴下、合羽を脱ぎ捨て、装備を車に投げ込む。頭が熱でうまくまわらず、帰る支度に手間がかかった。
ようやく車に乗り込みエンジンをかけると、先ほどのトレランナーの一人が下山した。
今はとにかく疲れた。達成感は感じらない。ただただ疲れていた。急いで白川郷へ向かった。


白川郷の温泉にて
終わってみると、ひざはがくがく、呼吸がひどく咳が止まらず、のどの痛みが再発、頭は熱でボーとしていた。完全なオーバーヒート状態である。こ れは運転きついだろうと思い、白川郷の湯という年中無休の日帰り温泉で汗を流した。
入浴中、以前小川山で焚火をした時に教わったアイシングの話 を思い出し、脚をずっと水風呂につけていた。
食堂で飛騨牛の味噌煮込み鍋を味わう。うとうとしながら鍋をつっついていると、食堂のおばさんが氷水をもってきてくれた。
額に冷えピタを貼っていたせいか、お店の人が僕が熱中症ではないかと心配してくれたのだ。山へ行くと天候に恵まれるのと、人徳に恵まれることが多い。
ありがたいとつくづく思う。
2~3杯を一気に飲み干したあと、座布団を枕にして閉館ぎりぎりまで横になっていた。

おわり