【山行報告】3月 霞沢岳

山名:霞沢岳
日時:2月3日~5日
メンバー:K村
目標:①ピークハント②テントトレ
行動:
3日 釜トンネルゲート7:34  徳本峠登山口10:27  白沢右岸の尾根(BC)14:46
4日 BC5:10  徳本峠6:22  JP8:45  最低鞍部9:58   BC12:41  
   河童橋16:14  上高地バスターミナル17:00   
5日 上高地バスターミナル7:15  釜トンネルゲート8:54  バス出発9:50  平湯10:07 
【反省】
精神的な弱さが現れた山行でした。山頂を見て登頂は無理だと必要以上に怖じ気つき敗退を決めました。
さらに準備の段階で多くの失敗がありました。スタートが遅れる、あらかじめ地形図からルートの特徴をつかめず予定通りに行動できなかった、帰りのバスの時刻を調べていなかったなど。
これらの原因は、唐突に山行計画を変更したからです。はじめ燕のピークハントを計画していたのですが、現地情報で雪の状況が悪いということで、日程的にきびしいのであきらめ、同じ北アルプスの霞沢はどうだろうということで下準備が不十分なまま変更しました。
  
一方で、雪崩れる谷を避け別ルートに探した、適当なテント場を探せた、3日目の天候を予想してタイムを決め後退できた、など初見でうまく対応できたところもありました。
また普段寒くて寝れなかったテントでもゆたんぽを作って寝れたなどの工夫もできました。
年末合宿、八ヶ岳山行、雪崩講習会、個人山行の成果が出ていると思います。
次回は蝶ヶ岳に行く予定です。
霞沢岳はまたいつか挑戦したいです。
【3月霞沢岳のクラシックルートについてわかったこと】
①冬の白沢は雪崩の危険性有。→西尾根のバリエーションから攻めるのはある意味正解?
②徳本峠からは標高差200m以上の急登のアップダウンが2本以上はある。
③ラッセル覚悟。
④赤布あり。
⑤帰りのバスの本数が少ない、冬の気候を考えると、予備日を含めて3泊4日の余裕をもたせたプランは妥当。
ルートの特徴さえつかんでいれば、あとは体力勝負だと思います。
人の気配が少ないルートなので、2~3人の複数でラッセルしてなるべくBCを前進させていけば登頂の成功率はあがると思います。
【山行内容】
3日
上高地はマイカー規制で入れないことを現地で初めて知り、焦って坂巻温泉あたりでuターンし、安房トンネルへのアクセス方法を調べる。
平湯の駐車場までとばし、バスとタクシーを探す。たまたまマイカーの隣にワゴンのタクシーが止まっていたので中で寝ていた運転手をノックして起こし釜トンネルまで3600円で行く。
帰りのタクシー代は残っておらず、スタートはすでに1時間以上も出遅れている。帰りはバスで帰るしかないが、ゲートの中にあった看板の時刻表を見ると手書きでうすく時間が書いてあり、はたしてこれが正しいのかわからないままスタートする。
ゲートで日帰りスノーシューの男性1人と北尾根登攀の男性3人とあいさつをして、トンネルを抜け、除雪された大正池まで歩き、一本とる。
大正池からはトレースを歩き、河童橋に着く。はじめての河童橋の眺めの綺麗さに感動し、写真をとり一本とる。そこで別の3人の男性パーティーに 声をかけられ、昨日は雪が柔らかく足が埋もれたが、昨晩の冷え込みで雪は固くなっているという情報を知る。登頂の期待を膨らませながら霞沢岳の登山口に到 着。ここから南に折れ、峠へ向かう。トレースがないので、ワカンを履く。
地図を見ながら、沢沿いを歩く。赤布があるので迷いにくいが、途中ルートを見失う。
地図を見てリカバリーし白沢に入ると、目の前に雪崩のあとがある。地図では、この沢沿いを上がっていくと徳本峠らしいが、このまま進んで良いものか悩む。先ほどの河童橋の男性の話からこの谷は雪崩で危険だと判断する。ルートを変更し、右岸の急登をよじのぼることにする。
急登は林で暗い。雪の中の草付で足を何度も踏みはずす。体力を余計に消耗しつつ枝をつかみよじのぼる。現在自分が地図のどのあたりにいるかわか らない。とにかく尾根の上に出ようと登り続ける。時間だけがすすみ、日が沈みかけ、そろそろテン場を確保しないとと慌てるが見つからない。ようやく適当な テラスを見つけ、整地してテントを張る。今回は修理したポールでしっかりテントを張る。外張りも問題なく張る。
夜はペミカンと赤飯を食べる。身体を温める目的で作った豆板醤のペミカンは辛すぎて、涙と鼻水で顔はぼろぼろになる。くちびるをぴりぴりにして シュラフに入る。ナルゲンボトルを湯たんぽにして足が暖かい。でもなぜか「こんなとこでおれは何やってんだ」と思い、めちゃくちゃ寂しくなる。
本日は徳本峠で張る予定だったので、たぶんもう霞沢は登頂できないだろうとあきらめ、明日は徳本峠を探すことに集中しようと決め、寝る。
釜トンネルゲート

大正池

河童橋
トレース

徳本峠登山口

野猿
白沢の雪崩

雪崩を避け急登へ

幕営

4日
3:00起床。ラーメンを食べ、5:06に出発。テントを置いてワカンを装着する。気温は-11度。昨晩から風がない。あまり寒く感じない。
うっそうとした林はいまだ気持ち悪く感じる。早く尾根の上にたどりつかないかと不安になりながら日が出始めると、ようやく周りの景色が見えて現 在地がわかる。少し落ち着きを取り戻し、ひたすら登り詰める。6:30ころに徳本峠に着く。小屋の8割が雪に埋もれており、その屋根の上で一本とる。気温 は-6度で、風があり寒い。
計画はここから12時間かけて山頂まで往復する予定である。しかしこの先の道の状況がわからないうえ、時間をかけて登頂できてもテントがないの で帰りが危険である。そして5日は雪の予報で、白沢は雪崩の危険が増すだろうということで、いけるとこまで行って、10時になったら引き返すことに決め る。
ジャンクションピークは今回一番の急登でなる。ここでも足を踏むはずしながら、九十九折にトレースを刻む。赤布があるので迷わない。
途中で一本とって、ようやくジャンクションピークに到達。少し先に進むと展望が開け、霞沢岳とk1、k2が見える。山頂まであまりに長い距離のアップダウンに、「これ登頂無理だわ」と怖気づく。
結局、2216mの最低鞍部でタイムアップに。帰りのジャンクションピークから明神岳と常念や蝶の眺望が見事であった。
急いでジャンクションピークを下りる。徳本峠を経由し、テン場へ戻る。テントを撤収し、暗い樹林帯の急登を落ちるように下りる。雪崩のある白沢 に着き、急いで雪崩のあとを横切る。2月に埋没体験をしたばかりなので、この谷はとてもいやらしく感じる。谷を難なく通り過ぎても登山口まで気持ちが晴れ ることはなかった。
帰りは明神が見える広く明るい樹林帯で一本取る。携帯のアンテナが3本あったので自宅に連絡し、帰りのバスの時間を調べてもらう。始発は9:50ということを知り、心が落ち着く。
河童橋で一本とる。梓川で水をくみ、上高地のバスターミナルの屋根のしたでテントを張る。
近くに冬季用のトイレがあることに驚く。周りに人はいないが人里に下りた心地がする。だけど明日のバスの始発に間に合うかどうか、始発に乗り遅 れると次は12時50分まで待つことになる。往路では釜トンネルから上高地までは約2時間で、明日の雪の予報を考えると、まだまだ安心できない。気合を入 れなおそうと思い、この日も豆板醤のペミカンを一気にたいらげる。ひいひいはふはふしながらすべてを平らげ、口とのどをあつあつにしながら寝る。
2日目早朝出発

徳本峠

ジャンクションピークへ

明神岳

遥か彼方の霞沢岳

 
下り

上高地

幕営

5日
5:40起床。外を見ると、雪が思ったより降っている。景色は昨日と打って変わって真っ白。周りの足跡がすでに消えかかっている。朝食は行動食ですます。
7:00に出発。気温は0度。風は緩い。急ぎ足で釜トンネルに向かう。道は雪に埋もれていたが幸いに固いトレースはわかったのでその上を歩く。
予定通りに大正池に到着。スノーシューの高齢の夫婦とすれ違う。帰り道に異変はなさそうだとわかる。釜トンネルに到着。これで安心。一本取り、ヘッドランプをつけ暗い下り道をおり、ゲートに到着。
ここで卜念の湯のおじさんにバスの時刻とバス停の場所を念のために確認。時間はあっていたが、バス停はゲートから少し離れたところだった。聞いておいて良かったと思う。
時間は1時間の余裕があり、バスを待つ間は寒い思いをした。しかし時間どおりにバスが来て、750円で平湯に着く。ようやく生きている心地がする。
温泉施設はとてもきれいである。お湯も気持ちよい(通年営業、冬は 8:30~4:30、大人一人600円)。お土産はとくにめぼしいものがなく、缶ドリンクの値段は山クオリティーだったのでパスして手ぶらで車に乗り込 む。途中、大沢野のコンビニで仮眠をとって、ぼーとした頭で無事に帰宅する。もうくたくたである。
大正池

ゴール